「趣味は何ですか?」と聞かれて、はっきりといくつかの答えが出せる人は幸せだと私は思う。
生活の基盤である仕事がありつつ、その他の楽しみごとに費やせる時間・お金・気持ちの余裕、好奇心、チャレンジ精神などが備わっていると思うから。
それに付随して仲間が増えたり知識を得たりと、世界が広がる。
没頭したり気持ちを開放することで明日への活力にもなるだろう。
私はAOZORA SCHOOLの子供たちに、将来の夢を尋ねることは出来ても趣味を尋ねることは出来ない。
幼い頃は夕方になれば毎日クリケットに興じ、土曜日には絵を描いたり色を塗ったりする美術の時間があり、
映画を観るのも車に乗るのも楽しそうだった。
でも大きくなるにつれ現実に直面し、自力では何も出来ないことに気づかされる。
学校で庇護され、管理され、与えられてきたので、自分から何かを掴もうとする意欲に欠けるように思う。
規律と節制を覚え、感謝の気持ちと恩義を忘れず、
こんなに良い子がこの世にいるのかと思うような子供が出来上がる。
もちろん、自由への憧れが強い子供は、どこか早い段階で自立を果たす。
デリーで再会したムケッシュは覇気が無かった。
忙しいのだと彼は言う。
週2回の語学スクールと週2回のアルバイト数時間。
それのどこが忙しいの?
「空いている時間は勉強している。だから時間がないんだ。」
多くの人に支えられ、助けてもらって今の自分があることを自覚した、徹底した禁欲生活。
もともと寡黙で繊細で勉強好きな子供だったけど、でもね。
あなたはまだ20歳前の青年でしょ。
せっかくブッタガヤの田舎の村から大都会デリーに出てきたんだよ。
観光、映画、ショッピング、外食、たまにはしたっていいんだよ。
欲しい本があったらいいなさい。
習い事がしたかったら言いなさい。
母親代わりとしては、もう少し青春を謳歌して欲しいと思う。
その権利は、誰にでもあると思う。
釣りや登山やカラオケやランニング、日本で人気の趣味を真似ることは出来なくても、
何か心休まる時間を、この大都会で彼自身に見つけて欲しい。
勉強以外に心惹かれるものを、探して欲しい。
あなたは多くのチャンスに恵まれた子なんだから。そんなに自分を追い込まないで。
多くの人が仕事以外に生きがいや楽しみを見つけられるようになったとき、
この国の真の発展が見られるようになるのかな。
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