2016年10月7日金曜日

~ 神の子 アクレシュ ~

住み込みの子供で、アクレシュという子供がいる。
初めて彼に会ったとき、はにかんだ笑顔の中の真っ白な歯と、
恥ずかしそうにそっと握り返してきた手の柔らかさが印象に残っている。

彼は特に貧しい家庭で育ったので、今の環境に心から満足し、感謝しているのがわかる。
年長者の言うことを良く聞き、ひたむきに勉強に取り組み、
料理、洗濯、自転車の修理、手伝いがあれば何でも率先してやる。
新しいことに挑戦するときは、自分のものにするまで諦めない。

その彼の一番の魅力。
それは、いつも体調の優れない人にそっと寄り添うこと。
誰かが頭が痛いといえば額に薬を塗りながらそっとなでる。
身体がだるいといえばマッサージを施す。
誰に頼まれるわけでもなく、いつも必ず、弱ったもののそばにいる。

彼のように心がきれいで、ただただ純粋に弱ったものの回復を祈ることができる、
そんな人が看護や医学の道に進めればいいのに。

医学の道を志したムケッシュもアクレシュのファン。
彼の姿を見て、自分もこんな看護師になりたいと思ったに違いない。
でも彼は、今年の試験に受かることができなかった。
合否の判定方法が不透明で、お金ばかり奪われる選考システムに腹が立つ。

こんな貧しい村に、天使のように美しい心を持った男の子がいる。
たとえ医師や看護師といった肩書きを持つことができなくても、
彼は人を癒すことができる。

今は私の心にこびりついたさまざまな汚いものを、
一生懸命に落とそうとしてくれているように思える。


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