2016年10月16日日曜日

~ 続10月16日 寝る前に今日一日を振り返る ~

昨日、私たちは簡単に今日の予定を立てた。
午前中のほうが彼の家族が家にいる確立が高いというので、
午前中早目の出発を決めた。
校長先生と私と、同じ村出身の子供を一人、連れて行く。

朝、校長先生が子供のお兄さんに電話をかける。出ない。
実はこのお兄さんが、彼を学校に通わせることを許さない。
精神が壊れてしまったお兄さんは、日常的に母親に暴力を振るう。

貧しさから充分な教育が受けられず、
まともな職に就けなかった人たちは時間を持て余し、
安価な密造酒やマリファナに溺れ、どこか別次元の世界で生きるようになる。
学校で暮らす子供の家族にはそういう人たちが多い。
だから母親は、小さな子供を守るために学校へ預けた。

子供たちは安全な学校で、同じ境遇の子供たちと共に学び、成長してきた。
幼くて無邪気だった頃の子供たちを思い出し、
こんな卒業の仕方は絶対にだめだよな、と思う。

集落を抜け、細い小道を延々と歩き、川に出た。
川幅の広さにちょっとたじろぐ。
でも、川を行き交う人たちがいる。
腿まで水かさがあったら諦めようという計画だったけど、
深いところでもひざ上ぐらいに見える。
ズボンをまくり、迷わず足を踏み入れる。
サンダルが砂にめり込んで歩きづらいのでサンダルも脱いだ。

今の学校はスラム街にあるので、スラムの子供たちだけで100人を超えてしまうけれど、
以前の、もう少し町寄りの建物を借りていた時には、この川を渡って学校へ通ってくる子供たちがいた。
あちこちの集落からこのAOZORA SCHOOLに通ってきていた。
それだけ楽しみな場所だったんだ。
そんなことを考えながら、川を渡りきった。

再び緑の小道を歩き、ここ周辺の唯一の学校である建物の横を過ぎ、集落に入る。
突然紛れ込んだ外国人にみんな無遠慮な好奇の目を向け、
私は少し怖かったけれど、できるだけ心を込めて「ナマステ」と挨拶しながら歩く。

目指す子供の家が近づいたとき、
前を歩く子供が驚いたように私を振り返る。
「彼だ。」



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