2017年4月14日金曜日

~ AOZORA工房再始動 ~

学校の子供たちにブレスレットを作らせるようになって5年ほどになる。
与えられたものしか身につけることが出来ない、
食べることが出来ない、
そんな子供たちに「お小遣いをあげたい」と思ったのが純粋なきっかけだった。
「お金はもらえるもの」と思わずに、「働いて得るもの」という感覚を身につけて欲しくて思いついた。
もちろんそこには、”店で売れるようになればいいな”という下心もあったけど(笑)。

しばらくは投資、投資の連続だった。
とても売れるようなものはなく、やみくもに数を作っていく子供たちの作品を泣く泣くほどいては石を使いまわしながら、
商品になるものにもならないものにも小さな値段をつけ、買い取っていた。

4年前かな。年頃になり、携帯を持ちたいと望んでいたムケッシュに、いい作品を作れば携帯を買えるくらいの高値で買い取ると約束した。
そのときのムケッシュの作品が今も子供たちに受け継がれている。
彼は、私が買ってきた材料ではなく、お寺の近辺で売られている数珠用の紐と石を自分で買い、
結び目の後始末には火であぶって紐を少し溶かし、解けないようにした。
そして丈夫な、ブッタガヤならではの作品ができあがった。
そのできに本当に感動し、とても満足したのを今でも覚えている。
多少上乗せしたものの、彼は自分の手で携帯代を稼いだ。
今ではだいぶ時代遅れになってしまったあのときの携帯を、彼は今でも使っている。

その後、ハレンダーが独自のデザインとひたむきに取り組む姿勢でいい作品を作り続け、お小遣いを稼いだと同時に、私にとって大きな大きな戦力になってくれた。

正直、価格の安さもあって、子供たちが作ったブレスレットは結構売れる。
もちろん、インドの貧しい子供たちが作っていることを全面的に押し出しているせいもあるが(・・・汚い。笑。)
イベントなどに出店すると、デザインや付け心地も含めて気に入ってくれて、まとめて買ってくれる人も多い。

近年子供たちは成長し、作品は安定し、ほとんど無駄にすることなく買い取った作品を店頭に並べることが出来ている。

しかし昨年、私はムケッシュとハレンダーという二人の大事な職人を(もちろん学校の大切な子供、という意味でも)失った。それでも他の子供たちの成長のおかげで、作品作りに関しては充分カバーできるだろうと思っていた。

そして今回。
3人のかわいらしいちびっ子が参入した。
子供たちの成長にかこつけ、他にもいろんなものを一緒に作ろうと思ってえっちらおっちら欲張って日本から運んできた材料は、すぐにちびっ子たちの遊び道具になってしまった。
また投資からやり直し。
でもいつかは腕のいい職人になってくれるかもしれないと期待しながら、
思い思いに作ってもらっている。
子供たちの作品でお店をいっぱいにすることが、私の夢の一つだから。

そんな中、今年も一人、新たな職人が誕生した。
ひたむきに作品と向き合う姿はかつてのムケッシュやハレンダーを髣髴とさせる。

締め切り間際に誕生した、彼のマスターピース。
私は、これは手放せないな、と思っている。



ダルムラージのマスターピース。こういう作品に出会うとき、湧き上がる喜びを感じる。

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